前を向くだけが正解とは限らない

ブログを開いてくださりありがとうございます
椎名桜月です。

自分の中で考えて考えて、ゆっくり、時間をかけてしまいました。
この夏を振り返らせてください。




不思議な人でした。
初めて会った時は目が合わなくて、怯えているようで、何か話しかけるのも怖がらせてしまうんじゃないかと思った。
箱を開けた時の小動物みたいに、怖がらせないように、箱の上に布をかけて、物音を立てないように。

始まりは、そう思ってたのに。
気づいたら箱を出て、自分でどこかに行ってしまった。

西條和さんは、貴方にとってどんな人でしたか?

この数ヶ月、何度も聞かれた言葉だったけど
最後までしっくりする言葉が思い浮かばなかったなぁ

守らなきゃ、とかこれ好きだろうな、とかこれ教えなきゃ!と思う時もあるのに、気づいたら自分が守られてて、笑って欲しいって思ってたのに、気づいたら笑わせてくれてて、落ち込んでる時、きっと気づいてるのに気づいてないふりして言葉をくれる人。

人のことをよく見てて、欲しい時に欲しい言葉をくれる人。

どれだけ同じ時間を過ごしても、何を思ってるのかあんまりわからなかった。
発する言葉は少ないけど、それに反した大きな存在感。
気づくと目を奪われてしまう人。
振り向いてくれると嬉しい、笑ってくれると嬉しい、

気がつくとすっと隣にいて、気まぐれに昔のことを話してくれて、ああ、あの時こう思ってたんだな、なんて昔のことを振り返ったり。


なごみさんの好きそうなものは、いつからかなんとなくわかるようになって、差し入れの食べ物とかジュースとか、好きそうなやつ持っていって、何だかそれがナナニジの中の私の仕事の1つような気がしてたのに。見かけたら確保しといたりんごジュースだけが私の手元に残ってしまった。

あの大きな背中は、きっとみんなに隠れて震えていたかもしれない。だけど、ずっと見ていられると思っていた、見ていたかった背中は、最後の瞬間まで14の時に見たものと変わらなかった。

初めてちゃんと話しかけられた気がするのは、14のツアー前のリハが後半に差し掛かった時、分からない振り付けの部分があって、同じパートだったから、聞いてみたらそっと、静かに何度も何度も私ができるまで教えてくれて、そんな和さんなりの優しさをなんどももらってきました。

いろんな言葉をもらったし、いろんな姿を見てきたけど、昔のことを振り返ると、あの時の自分が驚くぐらい心を開いてくれたなぁ、なんて思う。
きっとあの頃の私より、あの頃の和さんの方がびっくりするんじゃないかな。

ツアーで、一緒に夜パフェを食べたり、みんなでプリクラを撮ったり、同じ部屋に泊まってみたり。

誘って平気かなと心配しながら恐る恐る誘ってみると、きてくれたりして、そしたらすごく楽しそうにしてくれて、初めて食べたもの、初めて撮ったプリクラ、どんな顔で和さんが受け取ったのか、今でも覚えていて。
あぁ、きっと私はそれが嬉しかったんだなぁ、と思った。

私が体調崩した時は、連絡くれて、何か食べれてるのか心配してくれたり、私が落ち込んでる時にそっとそばにいてくれたり。

くまのヘアゴムを見つけて、何だか和さんを思い出したからプレゼントしてみたら、腕につけたり、部屋のドアにつけてくれたり。

なぜか深夜に連絡が来たと思ったら、家の電気がつかないと言われ、なんか色々調べて解決したり。
乗り換えがわからないと連絡してきたり。
そんなこんなをしていたら、何だがだんだん和さんの好みがわかってきて、今でも和さんが好きそうなものを見ると連絡してしまう、謎の習性がついてしまった。

ものすごくずっと一緒にいたとか、たくさん遊んだとか、そんなことではないのに。

振り返ってみると思い出がたくさんあって、何だか心の中に大きな穴が空いてしまったみたい。

卒業するって聞いてから、何度も何度も、ほんとに何度も引き留めてしまったけど、決めてしまった和さんの意思は強くて。寂しいと言ってもそれを喜ばれてしまって。
精一杯の自分で、全てに全力で向かってる姿をみたら、止められなくなっちゃった。和さんはずっと、何か吹っ切れたような、もう覚悟をしたような、そんな表情をしてて、最期まで西條和を全うする姿を近くで見れてよかったな。かっこよくて大きな背中。


すごくすごくすごく、寂しいけど、それと同時に嬉しかった。
和さんが、自分で何かに向かって踏み出すことが。

だから、最期の瞬間まで目に焼き付けて、最期の瞬間を最高の時間にできるように、コンサートに臨もうと思ったわけです。

和さんが、自分のやりたい曲を、自分のやりたいステージを、作ってそれで送り出せるなんて、とってもとっても幸せなことです。
西條和の存在を証明するために、私たちは精一杯頑張らなければ、と思わされるセットリストで。
和さんが私たちのために選んでくれた衣装で。


私が加入して初めて歌った表題曲。
隣には和さんがいてくれました。不安な時は手を握ってくれました。
一緒の歌割りの曲は、こういう意味でこの振りなんだよって教えてくれて、そうやって和さんが私たちに残してくれた一つ一つを大切にしていきたいな。


いつか、なごみさんの作った衣装とか、着れたらいいな。なんて、願ってみたりします。
きっと私たちのこと、これからもみていてくれるから。
そう思ったら背筋が伸びて、ちゃんと頑張らなきゃなって思うわけです。

この前久しぶりに会った和さんは私はメンバーのみんな事が大好きだって、推しだよって言ってくれて。
和さんにそんな風に言ってもらっちゃったなら、私たちも頑張らなきゃとやっぱり欲しい言葉をもらってしまったような気がするけど。
メンバーだけのグループLINE居続けていいのか悩んでたりして、みんなで居てくださいよ〜って言ったり。

私たちにとってもファンの皆さんにとっても大きな存在だった和さん。
寂しいだけじゃなくて、和さんから貰ったものを私たちはこれからも大切にして頑張って活動していきますね。

振り返ってみると、私たちはもらってばっかりだったような気がする。

この数ヶ月、前を向かなきゃ、頑張らなきゃと思ってばかりだったけど、こうして後ろを振り返ってみるとあたたかく微笑んでくれている。
前を向くだけが正解ではない。
たまには振り返ってみると、その姿に勇気がもらえる気がした。


面と向かってではなく、背中を向けて、好きでした。と伝えるくらいでいいのです。
私にとっては、そんな存在でした。



控えめに、伏し目がちに、嬉しさを隠しながら笑うみたいな笑顔。
みるのが好きだった。
だんだん顔を上げて笑うようになった気がする

やっぱりまだまだ少し、さみしいものですけどね。


読んでくれてありがとう。
がんばるね✌️


椎名桜月