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22/7 WiKi
私の小さな大きい世界
2016年12月24日。
風が冷たい晴れた日のクリスマスイブ。
サンタさんも預かり知らないところで真新しい箱がひとつ、組み立てられました。
どんな重さなのか中に何を入れていけばいいのか。
どれぐらいの間持ち続けるのかもわからなかったけれど、
手を綺麗に洗い、足踏みをして。
一度強く握ってから、しばらくはおろすことがないその手に覚悟を込めて腕を伸ばしたのです。
いざ持ってみると新品の箱というのは誰かの持った跡がないぶんいかんせん持ちにくいし、
どこにいっても馴染んでいない気がしてしまうのでした。
水平を保つことが難しくて片方に寄ってしまったり、
疲れ果てて手を離しそうになっては落っことしてしまいそうになったことも何回かありました。
あまりにもぐらぐら運んでいたものだから中身がぐちゃぐちゃになってしまってるんじゃないかと思ってこわくてなかなか開けられないこともあったな、
それでも少しずつ入れていったパーツはしっかりと重みを積んでいたし、
いつからかその重みこそが私を安定させるものになっていました。
持ち上げているようで実際は、私の方が持ち上げてもらっていたんです。
手元だけを見ていれば足元が真っ暗なことにも気づかないでいられるし、強い雨の音も紛れるから。
縋るように私はこの箱を持ち続けました。
でもそうやって手元だけを見て歩いているうちに少しずつ周りは照らされていって、
足元も。少し遠くの景色も見えるようになってきて、
ようやく気づいたんです。
もうとっくに、
雨なんて降っていなかったことに。
足幅しかないと思っていた道はちゃんと両足で立てる幅があったし
たとえ雷が鳴ったとしても、一緒に身を寄せられる人達がいました。
それに気づいた時、ようやくあの言葉が頭をよぎったのです。
そろそろ、
この箱から手を離してみようと思います。
私西條和は、22/7を卒業します。
長い長い間ずっと力の入れていた手を、ついにおろす時が来ました。
この箱が全てだと思ったあの時。
隣にいる10人だけが私の世界だと思っていました。
だけど8年半の月日を経て。
私が思っていたよりももう少し、この世界は広くてあたたかいんだということを知りました。
それを教えてくれたのは。
私が顔をあげた時に見えるよう周りを照らしてくれていたのは、
間違いなく応援してくれているみなさんでした。
臆病な私がこんな決断をできたのは、皆さんがどんな時も笑顔を送り続けてくれたからです。
踏み出す勇気をくれて、ありがとう。
あまりにもずっと持っていたものだから箱の香りは私の手に移っているし、
同じようにまた。私の手形もきっと、少しばかりは移っているんだと思います。
私にはもう、それだけで充分なのです。
手に残るこの香りがあれば、私はこれからも歩いていけるような気がしています。
みんなのおかげ。
西條和として皆さんと過ごせるのは
今年の夏が最後です。
シングルとしては、今度の15枚目シングル。
あなたでなくちゃが私の参加する最後のシングルとなります。
15枚目だって。
8年半だって。
長かったね。
僕は存在していなかったから始まった
私の22/7としての時間。
この夏が終わる頃には、あなたでなくちゃと言ってもらえるような存在であるように。
残りの時間を22/7として。西條和として。
ラストスパートを精一杯、走り抜きます!
ふぁい
今までありがとうと言うのは、
もう少し先でいいよね。
おしまい。